小学校の入学準備は、学習机やランドセル、文房具や体操着を揃えたり、読み書きをできるようにしておくことだけではありません。
小学校などで集団行動をする上では、人の気持ちや周りの動きを見ながら自分の行動を決めたり待ったりする、いわゆる「空気を読むこと」も身に付けておきたいもののひとつ。
だけど、それができない子も多いものです。
今回は、突然お友だちを叩いてしまうような、自分の衝動を抑えられない子を育てるお母さんが心がけたい、やってはいけない3つのポイントについてまとめました。
ウチの子、お友だちを叩いちゃうんです。小学校入学後が心配で・・
保育園年長の男の子を育てているAくんママは、こんなことを心配しています。
保育園年長の息子は、いつも落ち着きがなく、じっとしていられません。
自分の思い通りにいかないときに、奇声を上げたり周りの子を叩いたりしてしまうことがあります。
今は保育園の先生が息子を手厚く見てくれていますが、小学校に上がったあとが心配です。
特にお友だちとのトラブル。突然人を叩く息子には、何度も「叩かないで」とか「あなたも叩かれたら嫌でしょう?」と言い聞かせていますが、不機嫌になり、聞いてくれません。どんなふうに教えたらわかってくれるでしょうか。
例えば、先日の就学前健診のときのこと。
健診のために並んで順番を待っていたときに、退屈になった息子は周りの子にぶつかるように腕を大きく揺らし始めました。
私が何度「やめなさい!」と促しても聞こえないふりをし続け、ついに、前に並んでいる子から「やめて!」と言われると、衝動的にその子の背中にパンチをしてしまいました。
謝らせようとしても、暴れて言うことを聞きません。
これからもこんなことが続くのかと思うと、入学後もお友だちとトラブルになりそうで心配です。
親がやってはいけない3つのこと
小学校入学前の男の子、全員に見られるわけではありませんが、特に精神的に幼い子ほど人の気持ちを考えようとする前に衝動的に行動に出てしまう子は、います。
この例のように、お友だちのことを叩いたときに私たち母親がやってしまいがちなことは
- 「やめなさい!」と行動を禁止する
- 「謝りなさい!」と謝罪を促す
- 「あなたも叩かれたら嫌でしょう?」と気持ちをわからせようとする
だったりします。
はい。ひとつずつ考えていきましょう。
「やめなさい!」と言わない
「やめなさい!」とか「叩いちゃダメ!」とだけを伝えても、実は子どもはどうしたらいいかわからないのです。
子どもの気持ちを考えてみましょう。
つまり
叩かないようにしよう。
叩かないようにしよう・・。
叩かないようにしよう・・・。
叩かないようにしよう・・・・。
あぁ!もう!我慢できない!!
というように、途中までは「叩かない」という行動を選択できています。
だけど、最後に我慢ができなくなってしまうところで、行動を起こし、そこにお母さんが注目して
「叩いちゃダメ!」
という言葉で制止してしまいがち。
しかし、ここで「我慢をしていた時間」に注目すると、子どもの抑制能力が育つのです。
「今まで我慢できていたんだね。」と。
「叩かないで!」と伝えるだけでは、何をしたらいいかがわからないのです。ただじっとしていることはできません。
だから例えば、「次に我慢ができなくなったら、叩くんじゃなく、ママの手を握ってね。」と伝えておきます。
子どもの様子を見ていたら、苦手なこと(例えば、並んで待つ)をしている状況なのはわかっているはず。
この言葉を伝えておいて、子どもが手を握ってきたとしたら
「我慢、できてるんだね。叩かなかったんだね!できてるね。すごいよ!」
と、たくさん褒めてください。
我慢ができたことを認められたり褒められたりすることで、今まで得られなかった達成感を得られます。
我慢をすることはいいことなんだ。と、抑制能力を育てることに繋がります。
謝らせようとしない
トラブルを起こさないようにするために、解決するためには謝らせなければならない!
と、思ってしまうことは多くあります。
しかし、「謝りなさい!」と言い続けても、残念ながら自分から謝る子には育たないのです。
ここでもまた、子どもの気持ちを考えてみましょう。
どうしたらいいか、わからなくなっちゃったんだね。
もともと衝動的に行動を起こしてしまいがちな子なのでです。
怒られたことでまたパニックになってしまって、どうしたらいいかがわからなくなるし、自分の機嫌が悪いときに謝罪を指示されることで、ふてくされてしまうこともあります。
そもそも、この状況のときにどうして謝らなければいけないのかを考えたとき、「相手の子の気持ちを落ち着かせるため」という目的があるはずです。
自分の子が謝る気配がないなら、謝らせるより先に相手のことを考えましょう。
今、叩いちゃってごめんね。
痛かったでしょう。大丈夫?
この子、待っているのが我慢できなくなっちゃって叩いちゃったみたいなの。
びっくりしたよね。本当にごめんね。
のように、自分の子が悪かったんだとか、自分の子は悪くなかったんだとか、そういうことには言及しないようにしながら、相手を気遣う謝罪をしましょう。
そして、自分の子には
ママは叩かれるのは嫌だな。もし叩かれたと謝って欲しいな。と思うから、謝ったんだよ。
だからママは叩かないし、あなたが叩いちゃったから謝ったんだよ。
と、伝えておきましょう。
こういう姿勢を見せていれば、子どもは謝ることを覚えます。
やらせるのではなく、どうするのかを見せることが大切です。
相手の気持ちをわからせようとしない
「友だちを叩くなんておかしい!」とか「叩かれたら嫌だっていう気持ちをわかってほしい」という思いから、「あなたも叩かれたら嫌でしょう?」と伝えることは多いものです。
しかし、それを伝えても、当の本人はふてくされた顔をして聞いてくれなかったりします。
ここでもまた、子どもの気持ちを考えてみましょう。
あとは
特に幼い頃は、相手と同じ立場で同じ状況だったら・・?と考えるのが苦手な子もいます。
自分が嫌なことが、他の誰かにとっても嫌なことである。という考えがしにくい場合もありますし、相手や状況によっては必ずしも嫌なことや謝る必要のない場合もあります。
それから、人の気持ちを考える前に、自分の気持ちをわかって欲しい!と思う心理は、人の中に当然あります。
つまり、いきなり「相手の気持ちになってわかろうとする」のは難しいのです。
まずは、自分の子どもの立場になって
「こうやって並んでるのは、ママだって退屈で嫌になっちゃったりするんだよ。」
そして、相手の子の立場になる
「ママは叩かれたら嫌だから、謝って欲しいって思うよ。」
のように、伝えましょう。
例えば「相手を叩く」という行動から、人の気持ちを想像して行動を決めるというのは、実はすごく難しいことなんです。
さらに、自分以外の人が本当に同じシチュエーションで同じ気持ちになるのかどうかは、わかり得ません。
だから、ここで登場するのはIメッセージ。
ママはあなたの気持ちがわかるよ。
そしてママが今、相手の立場だったらこう思うよ。
ということを伝えましょう。
この場合、彼は「並ぶこと」が嫌で、それに我慢していた。と思っているんです。
自分の気持ちをわかってもらえないのに、人の気持ちを考えるように言われても、気持ちが晴れません。
まとめ
感情が高ぶると人を叩いてしまう子へやってはいけないこととその対応方法は
- 子どもに無理やり謝らせない
- 子どもが謝れないときはママが謝りましょう
- 積極的に謝る!その姿を見せておくことが大切!
- 相手の気持ちをわからせようとしない
- まずはママが子どもの気持ちをわかろうとしましょう
- ママが相手の立場だったらどう感じるかを想像しましょう
- これをそれぞれIメッセージで伝えます
- 「やめて!」と禁止しない
- 単純にやめることだけではなく、その代替案の提案をしましょう
- 代替案で行動できたことや我慢できた時間に注目して、(短時間だとしても)抑制できたことを褒めましょう
です。
いかがでしたか?
今まで「やっちゃってた!」と思ったら、今日から少しずつ変えていきましょう。
その「少しずつの変化」を感じることが、今まで「友だちを叩いちゃってた!」という子どもに、すこしずつ向き合って変化を信じ続けられる力になります。
子どもの変化だけを期待するのではなく、まずは親が変化をする姿を見せましょう。
ポジティブにやる気を引き出す声掛けを知るには、この記事がおススメです。